この記事では、実際にFTP5倍(PWR5.5倍)を達成した筆者が、その具体的なトレーニングメニュー、週間スケジュール、食事術を全て公開します。FTP(Functional Threshold Power)とは、1時間維持できる最大パワーのことで、ロードバイクのパフォーマンスを測る重要な指標です。特にパワーウェイトレシオ(PWR)5倍は、体重60kgの人でFTP300Wに相当し、ヒルクライムで結果を出すための大きな壁と言われています。本記事では、多忙な社会人が限られた時間で確実にFTPを引き上げるための「3ヶ月集中ロードマップ」を解説します。科学的根拠(エビデンス)に基づいたインターバルプロトコルから、筆者が実際にFTP300W(体重比5.5倍)を達成した際のパワーデータ、さらにはパフォーマンスを支える食事・サプリメント戦略まで、実効性の高い情報を網羅しました。
FTP5倍を達成した筆者の実データ推移
FTP向上には、単なる根性論ではなく「数値による管理」が不可欠です。筆者はトレーニング開始当初、FTP 213W(PWR 3.8倍)という一般的なホビーサイクリストのレベルでしたが、適切なピリオダイゼーション(期分け)とTSS管理を行うことで、2年後にはFTP 280W(PWR 5.3倍)を超えることができました。この成長を支えたのは、闇雲な乗り込みではなく、有酸素能力のベースを構築しながら「酸素摂取能力の天井」を叩く戦略的なアプローチです。具体的な推移としては、1年目でおよそ40W、2年目で36Wの向上を記録しました。このデータからも、正しい方法論さえあれば、30代を過ぎた社会人からでもアスリート級の数値を手にできることが証明されています。
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期間 |
FTP |
PWR |
体重(参考) |
|---|---|---|---|
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トレーニング開始時 |
213W |
3.8倍 |
約56kg |
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1年後 |
約253W |
約4.5倍 |
約56kg |
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2年後 |
289W |
5.2倍 |
約56kg |
体重は約56kgで推移し、増減はほとんどありませんでした。PWRを上げるには、体重を増やさずにFTPを向上させることが鍵だと実感しています。

5倍達成のための週間トレーニングスケジュール(実例)
効率的なFTP向上には、3ヶ月を3つのフェーズに分ける「ピリオダイゼーション(期分け)」が不可欠です。身体の適応には一定の時間が必要であり、フェーズごとに目的を明確にすることで、オーバートレーニングを防ぎつつ能力を最大化できます。以下は、筆者が実際に5倍を達成した際の週間スケジュールです。月曜をレスト兼チートデーに設定し、火曜から日曜まで高強度トレーニングを中心に組み立てました。
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曜日 |
トレーニング内容 |
強度ゾーン |
時間 |
備考 |
|---|---|---|---|---|
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月曜 |
完全レスト + チートデー |
– |
– |
好きなものを食べてリフレッシュ |
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火曜 |
SSTワークアウト(例:Carson) |
FTP 88-94% |
60分 |
20分×2本、レスト5分 |
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水曜 |
SSTワークアウト(例:Pettit) |
FTP 88-94% |
60分 |
30分連続×2セット |
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木曜 |
VO2maxインターバル(例:The Wretched) |
FTP 106-120% |
45分 |
3分オン×5本、レスト3分 |
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金曜 |
回復走またはレスト |
FTP 56%未満 |
30-45分 |
軽く脚を回す |
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土曜 |
SSTロング(例:The Wretchedのバリエーション) |
FTP 88-94% |
75分 |
40分連続 + クールダウン |
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日曜 |
実走ロングライドまたはZwiftレース |
ミックス |
90-120分 |
低強度主体、楽しむ |
このスケジュールを8ヶ月以上継続し、月曜のチートデーで体重が増えても、週末には元に戻るサイクルを維持しました。1日のトレーニング時間は1時間程度ですが、強度をしっかり管理することで効果を最大化できます。

Zwift・TrainerRoadで使えるおすすめワークアウト
仕事や家庭で時間が限られる社会人にとって、1回45〜90分で完遂できるインドアトレーニングが最強の武器になります。以下のメニューを週のスケジュールに適切に組み込みましょう。特に、ZwiftやTrainerRoadにはFTP向上に特化したワークアウトが多数用意されています。
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ワークアウト名 |
プラットフォーム |
ターゲット強度 |
主な効果 |
推奨頻度 |
|---|---|---|---|---|
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Carson |
Zwift / TrainerRoad |
SST (FTP 88-94%) |
有酸素能力の最大効率化、FTP向上に最も効果的 |
週2-3回 |
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Pettit |
TrainerRoad |
SST (FTP 88-94%) |
長時間の閾値維持能力向上 |
週1-2回 |
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The Wretched |
TrainerRoad |
VO2max (FTP 106-120%) |
酸素摂取能力の天井引き上げ |
週1回 |
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McAdie |
TrainerRoad |
VO2max (FTP 106-120%) |
高強度インターバルで限界値を突破 |
週1回 |
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Annie |
TrainerRoad |
スプリント / ニューロマスカル |
瞬発力向上、パンチ力強化 |
週0-1回(オプション) |
SSTは、疲労を最小限に抑えつつ、最大限のトレーニング効果を得られる「黄金の強度」です。20分×2本(レスト5分)から始め、最終的には40〜60分連続で維持できることを目指します。筆者の日記()でも、この強度の積み重ねがFTP向上の鍵となったことを記しています。
FTPの伸びが停滞した際、原因は「酸素摂取能力の天井」にあることが多いです。推奨されるのは「30秒オン/15秒オフ」を13本×3セット行うプロトコルです。これは5分間の持続インターバルよりも、VO2max領域(最大酸素摂取量の90%以上)に留まる時間を長く稼げるというエビデンスに基づいています。心拍が最大心拍の90%以上に達する感覚を大切にしてください。
体重を増やさずFTPを上げる食事術
トレーニングで筋肉を破壊した後、より強く再生させるのが「栄養」の役割です。特に高強度トレーニングを行う社会人は、エネルギー不足による筋肉の分解(カタボリック)を防ぐ必要があります。体重を増やさずにFTPを上げるには、糖質とタンパク質のバランスが重要です。
朝食:オートミールプロテインミックス(レシピ)
筆者が毎日食べている朝食レシピです。腹持ちが良く、栄養バランスも優れています。
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材料:オートミール50g、プロテイン(チョコレート味推奨)35g、フルグラ25g、アーモンド5g、くるみ5g、ドライフルーツ10g、お湯適量(40〜60ml)
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作り方:オートミールにお湯を注ぎ全体に行き渡らせる。プロテインを加えて混ぜ、フルグラ、ナッツ、ドライフルーツをトッピング。
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PFCバランス:タンパク質35g、脂質17.6g、炭水化物58.8g、約530kcal
トレーニング前後の栄養摂取タイミング
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トレーニング1時間前:炭水化物中心の軽食(例:おにぎり1個、バナナ1本)を摂取。血糖値を上げ、トレーニング中のパフォーマンスを最大化。
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トレーニング直後:プロテインと糖質を同時摂取(ゴールデンタイム)。筋肉修復とグリコーゲン再合成を促進。
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1日のPFCバランス例:タンパク質体重1kgあたり1.5〜2g、脂質20〜25%、炭水化物で残りのカロリーを補う。
糖質(グリコーゲン)マネジメントは重要です。SSTやVO2maxメニューは糖質を主燃料とします。ダイエットのために糖質を制限しすぎると、トレーニング強度が維持できず、結果的にFTPが下がるリスクがあります。練習の1〜2時間前にバナナやジェルで糖質を補給し、終了直後にはプロテインと共に糖質を摂取する「ゴールデンタイム」を逃さないようにしましょう。
エビデンスのあるサプリメント活用
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プロテイン:筋肉修復の基本。体重1kgあたり1.5g〜2gを目標に摂取。
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ベータアラニン:筋内のカルノシン濃度を高め、高強度インターバル後半の「粘り」をサポートします。
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クレアチン:瞬発的なパワー発揮と、筋肉のリカバリーを助けます。
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グルタミン:免疫力向上に効果的。トレーニング後の体調管理に役立ちます。

5倍を目指す際の注意点とデメリット
FTP5倍を達成するためのトレーニングには、いくつかの注意点とデメリットがあります。これらを理解した上で取り組むことが重要です。
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パンチ力が育たない:SST中心のトレーニングは有酸素能力を高める一方、スプリントや短時間の高強度発揮能力(パンチ力)は向上しにくいです。ロードレースやクリテリウムでは弱点になり得るため、必要に応じて別途スプリント練習を組み込みましょう。
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故障リスク:週6日の高強度トレーニングは、オーバートレーニングや故障のリスクを伴います。特にベースがない状態で始めると、膝や腰を痛める可能性があります。必ず有酸素ベースを構築してから挑戦してください。
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モチベーション維持の難しさ:毎日1時間の高強度トレーニングは精神的にも負担が大きいです。筆者はZwiftのレースやイベントを活用してモチベーションを保ちました。また、月曜のチートデーでリフレッシュすることも重要です。
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体重管理の難しさ:高強度トレーニングは食欲を増進させるため、体重が増えやすい傾向があります。特にチートデーを設けると、体重変動が大きくなることがあります。定期的に体重を測定し、PWRを確認しながら調整しましょう。
これらのデメリットを認識した上で、自分の目標に合わせたトレーニング計画を立てることが大切です。
補足:筋力トレーニングの位置づけ
「心拍には余裕があるのに、脚が売り切れてパワーが出ない」という現象は、筋力不足が原因である可能性が高いです。週1回のスクワットやデッドリフトなどのウェイトトレーニングは、神経系を刺激し、ペダルを押し込む絶対的な出力を向上させます。これは特に、加齢に伴う筋力低下をカバーしたい30代以上のサイクリストに劇的な効果をもたらします。ロードバイクの練習だけでは動員できない筋肉を鍛えることで、FTPの「底上げ」が可能になります。
ただし、実際にFTP5倍を達成したサイクリストの中には、筋力トレーニングを全く行っていない人も少なくありません。例えば、競合記事の達成者は「筋力トレーニングは行っていない」と明言しています。筋トレはあくまでオプションであり、必須ではありません。時間的余裕がある場合や、特定の弱点を感じる場合に取り入れると良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. FTPテストが怖くて実施できません。代わりの方法は?
A. Zwiftの「RAMP TEST」がおすすめです。20分全力走のような精神的な苦痛が少なく、1分ごとに負荷が上がる中で力尽きるまで漕ぐだけで推定値が算出されます。初心者でも誤差が少なく、定期的な計測に向いています。
Q2. 仕事で疲れている日でもメニューを完遂すべき?
A. いいえ、無理は厳禁です。安静時心拍数が普段より5拍以上高い、あるいは寝つきが悪い場合はオーバートレーニングの兆候です。その日はL1強度の「回復走」に切り替えるか、思い切って完全休養にしましょう。休養こそが筋肉を強くします。
Q3. FTP5倍達成までに必要な期間は?
A. 個人差はありますが、適切なトレーニングを積めば初心者で2〜3年、中級者でも1〜2年程度かかることが多いです。筆者の実例では、2年でFTP213Wから289W(PWR3.8倍→5.2倍)まで向上しました。3ヶ月の集中期間で20〜30%の向上は可能ですが、5倍達成には長期的な継続が必要です。焦らず、自分のペースで取り組みましょう。
まとめ:FTP向上は「継続」と「管理」の結晶

FTP向上に魔法のメニューはありませんが、科学的な「期分け」、社会人の生活に即した「時短メニュー」、そして「数値による管理」を組み合わせることで、誰でも着実に強くなれます。まずは明日から、朝30分のSSTから始めてみませんか?3ヶ月後のあなたは、今よりも一回り大きな「エンジン」を手に入れ、坂道で見違えるような加速を見せているはずです。
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